語学でベースとなってくるのは単語をどれだけ知っているかです
そもそもその単語を知らなければリスニングで聞き取ることもできないですし、それはリーディングでも同じことが言えます。文法がわからなくても単語の意味さえわかっていれば空欄補充も正解を選べます。
そうはいっても、単語を覚えることは一朝一夕ではできないです。
時間をかける必要はありますがそれはあくまでも期間の話で、1日あたりにすると大したことはありません。
以上を踏まえた上で効果的に単語を覚えられる方法を話したいと思います。
忘却曲線
まずは忘却曲線について話をします。
その名の通り記憶の忘却を表す曲線でドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウス氏が発表しました。
この表は時間とともにどれだけ記憶したことが頭に残っているかを示しています。時間の経過とともに忘れていくのが顕著にみてとれますよね。
記憶は短期記憶と長期記憶に分かれます。
これも名前で想像できますが、短期記憶は短期間しか覚えていられない記憶で、長期記憶は長期間覚えていられる記憶です。
なんで分かれているかというと、私たちは日々たくさんの情報に晒されています。テレビや新聞、ネット、関わる人から得ることもあるでしょう。その全ての情報を処理するのは非常に困難です。
そのため、記憶は必要の無いものから優先的に削り落とされていきます
もう少し見ていきましょう。
短期記憶とは
上記であげた通り一時的な記憶のことです。
例えば、新しい知り合いからLINE IDを教えてもらってその場で暗記したとします。ですが、一旦登録してしまえばすぐに忘れてしまいますよね?
これが短期記憶です。
短期記憶の話題ではマジカルナンバーが有名ですね
マジカルナンバーは人間が瞬間的に記憶できる短期記憶の限界数を表したものです
アメリカの認知心理学者であるジョージ・ミラー氏が、人は一度聞いただけで、直後に再生できる記憶容量はどのくらいかについて研究して1956年に発表した論文[マジカルナンバー7±2]から来ています。
つまり7個を中心としたプラスマイナス2個が短期記憶の範囲内ということです
この7個は情報量ではなくかたまりの数を示しています。そして、このかたまりはチャンクと言います。
例えば[えいたんご]を[え・い・た・ん・ご]とすれば5チャンクですね。チャンク化することで覚えやすくなる効果があります。
ただ、ミラー氏はどうして7なのか、そもそも7なのかを断定していません。それでも1つ言えることは今でも7という数字が力を持っていることです。
七福神や七夕、七草など。1週間の単位が7日となっているのもキリスト教で神が世界を創造して最初に休息したのが7日目というところから来ています。
とはいえ、本当に短期記憶で7チャンクも覚えられるかと思いますよね?
例えば瞬間的に次の英単語の羅列をみてあなたなら覚えられますか?
proponent・morale・cessation・prerequisite・gravity・propensity・havoc
難しいと思います。それでは5チャンクだとどうでしょう。
proponent・morale・cessation・prerequisite・gravity
まだ難しいかもしれませんがまだ覚えられますよね?
確かにマジカルナンバーは7±2なので、5も許容範囲です。だからといっても9つの単語はさすがにぱっと見では覚えられないと思います。
ミラー氏は日常的なことを対象にした場合の記憶容量と強調していたので、そういった意味だと9つも不可能ではないのかもしれません。さすがにランダムな数字の9チャンクは覚えられないですよね。
ただ、安心してください。
現在ではネルソン・コーワン氏の発表した4±1こそが短期記憶の定説となっています
これ以上の説明は省きますが、実際に勉強するときにこの短期記憶をうまく利用することができます。
チャンク化すると覚えられやすくなると述べましたが、チャンク化したものをさらにチャンク化することで更に記憶の効率がよくなります。
例えば数字の羅列を覚えるためにはそのまま25個並べたものを覚えることは困難というか無理です。
それを5個ずつ5行に並べてみてください。
その情報をリハーサルといって復唱したり、思い浮かべたりすることで記憶が定着します。心配しなくてもパソコンのように使った分の容量が減るわけじゃありません。
記憶は鍛えれば鍛えるほど使いこなせます。
このリハーサルによって短期記憶が長期記憶に転送されるのです
長期記憶とは
マジカルナンバーとは違い長期的に大容量で保存できる優れものです。
学生の頃に覚えた百人一首や竹取物語とかもそうです。今でも言える人、周りに結構いませんか?
長期記憶は基本的には消えることはないとされています。ですが、脳には残っているのに思い出せないってことはあると思います。
検索エンジンでいう検索すれば出てくるけど検索ワードが出てこないパターンですね
長期記憶では手続き的記憶と宣言的記憶に分かれます。
手続き的記憶は車の運転のように身体が覚えている記憶。宣言的記憶は事実と経験による記憶。
長期記憶を実現するには手続き記憶が圧倒的に有利です
留学すると英語を覚えると言われますが、これは英語圏で生活することで耳が慣れるからです。留学中は毎日のように英語を聞いて、英語を話す、つまりは習慣のことです。
手続き的記憶は強烈ですよ。だって、久しぶりに車の運転するときに身体が覚えてるんですよ。この経験が何より手続き的記憶が優れているのかを証明しています。
ポイントは毎日という言葉ですね
忘れる前に繰り返すことが大事になります。そして、それを習慣化するのです。
最初に忘却曲線という言葉が出ましたね。
人間は忘れる生き物だと。それではどのタイミングで勉強すれば学習効率が上がるのかをみていきましょう。
黒い線が記憶です。最初の単語を覚える際にまずは知らなかった単語を学んだわけですから100%まで上がりますよね。
そのままにしていくとエビングハウスの忘却曲線のように忘れていくことがわかります。
どう復習すれば良いかは黄色い線をみてみましょう。
まず、学んだ単語を1日以内に10分間復習すると記憶率は100%に戻ります。次回は1週間以内に5分するだけです。最後は30分以内に2-4分すれば完璧です
正直、驚きですよね?
たった19分間の復習で1ヶ月後も学んだことを忘れられずにいるんですよ。
この法則を利用して英検一級の英単語を覚えることを想定します。
単語帳は以下を使います。
単語帳のコンセプトが1日16単語 x 70日の計算なので、合計1120単語を覚える必要があります。
キクタンの良いところはリズムに乗って流れるところです。
英語→日本語→英語の順で音声が流れるので、英語の2回目の音声に合わせる形で発音してください。
発音は絶対に必要です。読めなくて覚えられるわけがないです
キクタンはChant1(単語)→Chant2(フレーズ)→Chant3(センテンス)の構成です。音声では単語とセンテンスのみ流れます。
よって、毎朝、通勤通学の前に一単元を音声に合わせて発音しましょう。音声にないChant2も合わせて音読しましょう。
通勤通学中も往復で同一単元をリスニングしてください。余裕があればテキストも開いて音声に合わせて黙読しましょう。
帰宅後も朝同様に復習してください。
全部で70単元あるので、6単元まで終わったら7日目には1日目の復習が必要です
7日目はDay7 + Day 1を行いましょう。それ以降はDay 8 + Day 2...というように続けてください。
30日目には再度1日目の復習が必要となりますので、Day 30 + Day 24 + Day 1の単語を学習しましょう。
もちろん、70日で終わらせる必要はないです
あくまでも自分のできる範囲で続けられる回数で行ってください
なお、単語が覚えているのが不安でしたらスマホのキクタンアプリをダウンロードしてみてください。
クイズ形式で覚えている単語を消す機能があるので、覚えていない単語を重点に学ぶことができます。
まとめ
人間は基本忘れる生き物です。まずはそれを理解しましょう
単語を覚えるときも一回で覚えようとしないでください。無理ですよ、あなたが映像記憶の能力を持っていない限りは。
大事なのは反復と復習するタイミングです。
まだタイミングを覚えていますか?
・1日以内に10分
・1週間以内に5分
・1ヶ月以内に2-4分
この三回です。
英単語に限らずにこの方法を活用して、インプットを増やしましょう。